UXSandwich

熊澤宏起 1984年生まれ 株式会社ARCHECO UX/UIデザイン シニアコンサルタント

トップダウンのUXはクソ

僕自身昔は音楽業界に居たり某自動車メーカーに居たり、それなりにデカい企業で働いてたこともあります。大きい企業は安定してるし、与えられた仕事を淡々とこなして行けば業績を得られる仕組みもあるんだけど、ルーティーンワークによってモチベーションが一定になるなんてこともよくあるはず。

よく上司にアプリやWebが使いづらい、見にくいなどと言われてUIを改善しろというミッションが与えられたりもするんじゃないでしょうか。確かに使いづらいし、見栄えもよくない。だからといって、さーユーザの為にUI改善するぞ!とはならないですね。そもそもそこまでモチベーションも高くない人も当然いるわけであって。結局上司や上層部を満足させるためにどうすればいいかを考えてしまう。会社的に〜とかよくある話。

その会社的に〜というところが凄く怖いところ。もちろん会社としてやる意義やビジョンを達成させるための施策としては重要なところかもしれないけど、そのビジョンの先には誰がいるの?って話。大体はサービスを使ってもらう人でしょう。

上司は予算を達成させるためにあーだこーだともっと上からグチグチ言われながらも改善すべきポイントを検討しているはず。もちろんユーザのことも考えている。自分たちがユーザに対してどんな価値あるものを提供できるのかもよく分かっているはず。

よく分かっているはずなんだけど、実はよく分かっていない。よく分かっているのは会社ができることであって、ユーザのことをちゃんと理解していない。

それはつまり思い込みのUX。

ユーザはこう感じているはずだ!もっとこういう機能やサービスを欲しがっているはずだ!うん、それもあながち間違いではない。間違いではないけど、僕からすればただのアイデアや切り口が見つかっただけである。何の根拠もない。解析データから読み取れるかもしれないけど、それは表面的な結果だけ。

アンケート結果から出たんだ!

おぉ!アンケートまで実施したんですね!それは信憑性がありそうだ!でもユーザは平気で嘘をつくよ?ポイント欲しさにダラダラ回答するよ?ホントにそれだけでユーザの心理と合ってる?と少し疑問が残る。

つまりアンケートもデータ解析もちゃんと設計しておかなければ良質な顕在化しているサンプルは収集できない。数字だけ見てユーザの心理が分かればそんなに楽なものはない。確かにある程度は信用できるし、仮説をもとに組み立てていくこともできるし僕もやったりする。

だけど、その仮説の組み立て方が問題。

ユーザはこの画面で離脱していてきっとUIが良くないはずだから改善してくれ!なんて指示が来たらどうしますか?

多分、表面的に可視化された問題点をあーだこーだと議論して、アプリならボタンが小さいからだの、フリック操作がし辛いだの、画面遷移が多いだのと課題を抽出することも多いのではないでしょうか。まぁユーザビリティでは大事なポイントなのでちゃんとそこは直しましょう。

直す前にもっとやらなきゃいけないことがありますね。

ちゃんと上司と部下とでユーザを知ること、理解すること。UXはナマモノなので、日に日に体験価値が変わっている可能性もある。

自分たちが提供したいサービスを使って貰う人はどんな人なのか。ユーザのメンタルモデルはちゃんと可視化されているのかどうか。検討する内容はいくらでもあるはず。時間がないから〜と言ってあやふやにするのが一番良くない。

ユーザのことを知り、理解していくことで何が起こるかと言うと、チームビルディングにも繋がって行く。もともとモチベーションの低かった社員も、入社した当時のモチベーションを取り戻すかもしれない。いや、それ以上かもしれない。経験値があるからね。上司は、こういった指示を出す時の出し方もちゃんと考えた方がいい。

万が一ユーザを理解してても、そこは一緒に考えるべき。

僕はよく某電気メーカーさんと一緒に仕事をさせて貰うのですが、そのチームのリーダー(とても偉い人)はなるべく打ち合わせには出てくれるし、ユーザのことをちゃんと理解しようとしている熱い人がいる。こういった人と仕事ができると、僕自身も凄くやる気になる。やっぱり、いいモノ作りたいじゃないですか。

チームメンバーの体制やモチベーションって大事だなーっとつくづく思う。

またまたまとまりのないブログになってしまいましたが、眠いのでこの辺で。笑

ではまた。